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建築物をスケッチする

1. Intro


絵が上手い人って憧れですよね。公園で風景を描いている人のキャンバスのぞいてみたり、街角で似顔絵を描いている人がいたり、巨匠建築家がなにやら抽象的な線から素晴らしい建築物をデザインしたり、とかく絵は才能が必要で自分には無理、と思われる方が多いと思います。

建築設計やデザインの世界では、フリーハンドのスケッチはとても強力なツールです。全てがデジタルに置き換えられた現在でも、クリエイティブな発想を直感的かつ包括的に表現するのに「手」ほど優れたツールはありません。

そんな建築設計の世界でも、スケッチをしながら自分の考える形やディテールを説明していく、という能力に長けた方が多いものの、「絵が上手い人」は実はそれほど出会ったことがありません。かくいう僕も絵は上手ではないです。

今回は、 建築のような人工物について、自分の頭の中に描いているアイデアをスケッチを使って的確かつ効果的に表現する方法をご紹介します。

「絵の才能」は、あればなお良し、ぐらいです。



2. ルールを理解する: 1点透視法と2点透視法


いわゆるパース(Perspective)です。例えば建築図面の一つである立面図のように、立方体を正面から見て正方形で表現する方法もありますが、これにパースで奥行きを与えてあげると、見ている人の理解が格段にあがります。皆さんが見ている風景は全てこのルールに従っていて、それを理解さえすれば、目の前の風景をスケッチで再現することも、頭の中の多次元的な(モヤモヤしている)アイデアを、3次元的な風景に置き換えることも自在にできるようになります。 


文章で説明してもピンとこないので、実際の風景を写真に撮って分析してみましょう。


1点透視法の風景:

まずは分かりやすい例です。建物は全て地上に対して垂直に建ち、屋根や窓は地面と水平になっていると想定すると、見た目のサイズは距離に従って小さくなります。その基準点はあなたの視点に応じて、1点に収束します。これをV.P(Vanishing Point)と表現します。

1点透視法は、あなた自身がその環境の内部にいるときに有効な手法で、上記のように街並みに囲まれていたり、室内のパースなどに向いています。


2点透視法の風景:

対象物を外部から見る、またはそれを中心に据えたいときには、2点透視法が有効です。中心となる任意の線から、左右に(または上下に)V.P.が置かれ、それぞれが各V.P.に収束していきます。以下はいくつかの例です。

各V.Pの距離は結構離れていて、自分が描くスケッチ内には収まらないのが通常です。近すぎると魚眼レンズのように見えますね。


余談ですが、この手法はイタリアのルネサンス期に構築されました。建築家のブルネレスキが実際の風景を小さいキャンバスに反映させる実験を行い、この法則にたどり着いた訳です。それ以前は、宗教画を見てもわかるように、全ての絵画は2次元的でした。



3. 実際にパースを描いてみる


それでは、次に実際にパースを描いてみましょう。大まかにステップを踏んで進めていきます。

枠を決める:

用意した紙の中に、スケッチの範囲を示す枠を作ります。これは自分のスケッチを枠内に収めるためというより、カメラでいえば焦点が合う範囲、という意味合いが強いです。また、枠外の余白により空間の広がりが表現されると思います。


地面を決めて視点の高さを決める

全体の構図や印象を決めるのが、絵の中での自分の視点です。建物を見上げているのか、虫の視点で地面に近いのか、実際に自分が見ているような高さか、はたまた鳥の視点からか。 それぞれ良いところがありますが、自分が何を見せたいかによって選んでみてください。臨場感は低い視点からが効果的でしょうし、全体的な意図や構成を見せたければ、鳥のように上空から見下ろすのが分かりやすいでしょう。



4. 下書きは奥から、仕上げは手前から


パースを描くときには、頭の中で対象物の配置を理解してから、それを紙に落としていく、という過程があります。当然ながら、最終的に見えるものは手前にあるもので、奥にあるのはその陰になります。これは私の独自の方法かも知れませんが、最初の段階では、一番奥から描いていきます。そして最終的に仕上げる際は、実際に見えるように手前から描き、その陰にあるものは見えなくします。下書きの線が重なることで、パースの角度からは見えなくても、奥行きを表現したり、ちょっと視点を動かせば見える、ということを伝えることができます。



5. 影をつけて建物と地面を繋げる


さて、ここまででパースに含める物体は描きました。次のステップは「影」の表現です。影をつけると、対象物の凹凸を表現できるのと、地面に対象物の影が映ることで、紙に浮いていた箱が、重力に抗って地面に立っているリアルな建物に見えてきます。影が上手く描けると、一気に「絵が上手い」度がアップします。

影を描く方法ですが、想定した太陽(光源)の方向から、その反対側に斜線を伸ばします。凹凸を考えて斜線の長さを調節するのですが、 表現の補助というつもりで正確性はそれほど気にしなくて良いと思います。



6. ちょっとした応用編


ここで僕がよく使うちょっとしたテクニックをご紹介します。どちらも絵の芸術性を高めるというより、正確な情報を伝えるための手法で、スケッチというラフな形態に図面的な要素を加えていくことができます。結果として、それほど上手ではないスケッチもそれなりに見えてくるのが不思議です。

断面図からの透視図:

よく使うのが、壁や窓の断面図からその奥に続く状態を表す手法です。分類としては1点透視法になりますね。

テキスト:

絵では表現できないもの、素材や色、特筆すべき詳細などを大胆に書き込みます。


僕が日常的に描いているスケッチの手順はこんな感じです。いかがでしたか?

絵を専門的に学んだわけではないですし、たいして上手でもないのですが、とにかく描き続けることで、頭と手が共同作業のように助け合いを始めて、新たな発見があると思いますよ。

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